私たちの太陽系の形成は、今から約46億年前に始まったと考えられています。
46億年前 | 分子雲からの太陽系形成の始まり | |
形成開始 | ||
5万年後 | 円盤状に変化 | |
10万年後 | 原始星の出現 | |
100万年後 | 温度の不均一化 | |
300万年後 | 原始惑星の誕生とガス惑星の巨大化 | |
1,000万年後 | ガスと塵の減少 | |
5,000万年後 | 太陽の核融合の始まり | |
7,500万年後 | 内部惑星形成の終盤 | |
8,000万年後 | 原始地球の危機 | |
5億~7億年後 | 太陽系形成の最終段階 |
今から約46億年前、天の川銀河の一角に漂っていたガスと塵の巨大な雲(分子雲)が太陽系の素となったと考えられています。この雲は摂氏マイナス240度の超低温。雲の中では粒子がゆっくりと動き回っているだけで、まだ太陽系形成の動きは始まっていません。
もし近くで超新星爆発が起こり、その衝撃波が分子雲に到達したとすれば、分子雲のガスが圧縮され収縮を始めるはずです。これが太陽系形成の始まりと言われています。
衝撃波により収縮してできた塊は重力崩壊を始め、ガスと塵が高密度な領域へとさらに収縮して行きます。これは分子雲コアと呼ばれ、ここから恒星や惑星の形成が同時に始まります。
この時と同じような状況が、現在オリオン座の方角でも観測できます。そこでは、直径何100光年にも及ぶ巨大な分子雲の中に高密度な領域があり、若い恒星の集団が星雲のガスを明るく照らす様子が観測できます。私たちの太陽系を形成した分子雲の中でも、同じように、兄弟星が生まれたはずです。
現在の太陽系に見られる回転運動は、形成が始まる前の分子雲の状態から続いている運動です。重力により分子雲の中心に物質が集まると、回転運動はさらに速度を増し、分子雲は次第に円盤状になっていきます。
重力崩壊した分子雲の中心部に、初期段階の恒星「原始星」が出現します。この原始星は光を放ちますが、そのエネルギーは重力崩壊によるもので、この段階ではまだ核反応は起きていません。
原始の太陽は、太陽系の素となる分子雲のガスや塵を次々と引き寄せて、最終的に雲のほとんどの物質(全質量の99.85%)を吸収します。私たちの地球を含む惑星、衛星、小惑星は、残されたわずか0.15%の物質から形成されたことになります。
原始太陽の出現により、原始の太陽系では場所により温度差が顕著となっていきます。
原始太陽からの距離 | 温度 | 状態 |
---|---|---|
≦800万km | 1,000度℃以上 | すべての物質が蒸発する領域 |
≧800万km ROCK LINE | 金属や岩石などの鉱物が冷えて固まる領域 | |
現在の木星の軌道付近以遠 SNOW LINE | -276℃以下 | 水、メタン、アンモニアが凍る領域 |
原始太陽系星雲内に生じた温度差は後の惑星形成において、内部太陽系の惑星(岩石惑星)と外部太陽系の惑星(ガス惑星)の違いを特徴づけることとなります。
この時点での惑星形成は、顕微鏡でしか見えないほどの小さな粒子がぶつかり合いから始まり、機械的な摩擦によってくっついてまとまっていくことで次第に大きな塊へと成長していきます。
この時点の太陽系は、まだ主に分厚い回転円盤の姿をしています。
回転円盤は主に水素で出来ていて、太陽に近いROCK LINE付近では小さな岩石の塊が多く、遠く離れた境界線SNOW LINEの外側はメタン、アンモニア、水などの氷が占めていました。
その中で顕微鏡でしか見えないほどの小さな粒子から成長した物体の塊が荒々しく動き回っている状態が続きます。
塵や氷の粒は衝突運動を繰り返すなかで摩擦や静電気にでくっついてまとまり、やがて周囲に重力の影響を与えられるほど大きに成長します。これが「微惑星」の誕生です。初期の太陽系には無数の「微惑星」が存在していました。
この微惑星がやがて大型の惑星を形成することになりますが、内部太陽系と外部太陽系で惑星の規模には違いが生まれました。この時点で内部太陽系に存在した物質は金属や岩石だけで、これらをもとに惑星が形成されて行きました。これに対して外部太陽系では、内部太陽系と同じような金属や岩石に加えて、水、アンモニア、メタン、二酸化炭素の氷も存在していました。その結果、ここでは金属や岩石で地球サイズの中心核を形成した後、氷やガスも吸収して惑星はさらに大きく成長することとなります。
太陽系の形成開始から300万年後、微惑星は月ぐらいの大きさの天体「原始惑星」に成長しました。
水、アンモニア、メタン、二酸化炭素の氷が豊富にあるSNOW LINE付近では、無数の原始惑星が衝突と融合を繰り返す混乱状態が続きました。これらの衝突の結果、凍った惑星が生み出されましたた。これが初期の木星です。初期の木星は岩石と氷で出来ていて、さらに成長し続けました。
質量を増やした木星は、強まった重力によって軌道周辺のガスをも取り込めるようになり、さらに巨大化を加速させていきます。こうしてわずか10万年間で現在の大きさの9割にまで成長しました。
木星の重力は軌道の内側にある「小惑星帯」微惑星を吹き飛ばし、その結果小惑星帯は原始惑星ができにくい領域となりました。
木星に続いて土星、海王星、天王星もガスを吸収しながら巨大化していきました。なかでも特に木星と土星の巨大化は著しく、つの巨大ガス惑星は、太陽系の惑星の全質量のうち92%を占めることとなった。
太陽系の外延部にも小さな物体が軌道公転する氷点下の領域「カイパーベルト」岩石や氷が互いにかなり距離を保ちながら集まっていて、物体が融合する機会が少なく惑星が生まれにくい領域となっています。
太陽系形成開始から1,000万年ほどが経過すると、太陽系内のガスと塵は原始太陽の太陽風によって太陽系外へと吹き飛ばされ、かなり少なくなりました。
木星と土星の成長過程ではまだ原始太陽系内のガスも多く、ガスを吸収することで強大化することが出来ましたが、それより遅れて成長した天王星と海王星は十分なガスを吸収できず、木星や土星より小さな天体となりました。
太陽系中心の原始太陽からの光は、太陽系内のガスと塵にさえぎられ、太陽系形成の初期は太陽から地球数個分離れた場所ですら太陽の発する光線は見えなかったとされています。しかし、太陽風がガスと塵を吹き飛ばしたことで太陽は宇宙空間にまばゆい輝きを放ち始めます。
それまで重量崩壊をエネルギー源としていた原始太陽では熱と圧力が臨界点に達し、ついに中心部で核融合が起こり始めます。こうして私たちの太陽は完全なる恒星として生まれ変わりました。
この頃になると、SNOW LINEの外側の巨大ガス惑星は、成長を止め安定した状態に入ります。しかし、内部太陽系では小さな原始惑星が衝突しながら融合して大きく成長するという混乱が続きます。
内部太陽系の惑星形成には、ガス惑星より10倍ぐらいの時間がかかります。太陽系が形成を始めてから約7,500万年後になると、そんな内部太陽系惑星の形成も最終段階に入ります。
原始の地球は、太陽から約1億5千万km軌道を安定して回りながら惑星サイズにまで成長しています。しかし、この軌道上には原始惑星「テイヤ」も回っていて、やがて二つの原始惑星は衝突する運命にあります。
太陽系の形成開始から約8,000万年後。内部太陽系の惑星はほぼ形成を完了します。
私たちの地球も、この時点でほぼ形成を完了しますが、地球はここで同じ軌道上を回る原始惑星「テイヤ」と運命の大衝突してしまいます。衝突した二つの天体の地殻やマントルは宇宙空間に飛び散り、それはやがて月となりました(ジャイアント・インパクト説)。このような大惨事を経て、やっと地球は安定した天体となりました。
太陽系形成開始から5億年が経過するころになると、巨大惑星の木星と土星の公転周期が2:1となり、重力が作用して莫大な「押す力」が生まれる「軌道共鳴」が発生するようになりました。
この時の起動共鳴は惑星の軌道にも影響を与えました。その典型が冥王星と海王星の軌道が入れ替わったことです。さらに、この力によって小惑星帯とカイパーベルトにあった小天体の99%が失われました。その多くは太陽系外に弾き飛ばされましたが、一部は太陽系内部に弾き飛ばされ、太陽の引力に引き寄せられて内部太陽系に向かって突進していきました。
木星と土星の起動共鳴により、内部太陽系に弾き飛ばされた小天体は、内部太陽系の惑星と衛星に襲い掛かります。この小天体の衝突は、「後期重爆撃期」と呼ばれ、これが太陽系形成の最終段階となります。
この小天体の衝突は月にクレーターを残し、地球にも甚大なダメージをあたえましたが、その一方でSLOW LINE以遠にのみ存在していた水をもたらしました。