長野県大町市の北端に位置する断層性構造湖、青木湖。そのわずか数百メートル北側が、二つの水系を分ける分水嶺となっています。青木湖から流れる小川(農具川)は南に向かって流れ、木崎湖を経由して信濃川支流となります。この分水嶺の北側約1kmのところにある、親海湿原(およみしつげん)を水源とする水系が姫川水系です。姫川は、ここから新潟県糸魚川市の河口に向かって、糸魚川・静岡構造線に沿ってに一気に流れ下ります。
姫川源流の水は、青木湖の水が染み出したものとする説があります。源流部はさほど水量は多くはなく、水質も特別に良くはありませんが、源流から約6km下流で平川、さらに約4km下流で松川が合流し、北アルプスの山々から清らかで豊富な水が流れ込むことで、水量と水質が格段にアップします。姫川は、その美しさに旅行者がしばし足を止めてしまうほど美しい川です。
姫川
谷地川合流地点より上流
源流の下流約3kmの地点で右岸から合流する支流が谷地川、左岸から合流する支流が犬川です。
この二つの支流と本流が合流する辺りから上流は、川幅が狭く、用水路のような渓相で田畑の中を流れます。主に釣れるのは、小型のニジマスですが、安定的な釣果が望めます。
流れはゆったりとしていて水面はフラットなので、ミッジ等の繊細な釣りも楽しめます。川底には藻が密集しているので、沈めるよりもドライフライで水面を狙う方が効果的な場合もあります。
上流の左岸から小さな沢の合流地点から先は、禁漁区となっています。
谷地川は、水質が悪く釣果も期待できません。
平川合流地点から
谷地川合流地点
平川合流地点より上流は、まだ水量はさほど多くはありません。両岸がコンクリートブロックでしっかり護岸され、さほど大きな変化のない、やや貧相な渓相ですが、型の良いイワナが釣れることがありますので、外せないエリアとなっています。この区間で最も有望なポイントは、白馬山麓植物園の下流の橋から白馬山麓植物園の上流の橋までの間です。特に、上流の橋の下の堰堤が狙い目となります。白馬山麓植物園の下流の橋より下流は、あまり期待で来ません。
釣果状況
13時頃、谷地川合流地点付近に入渓。姫川本流の次の橋までを探ってみました。谷地川の合流地点を過ぎると、姫川は用水路のような渓相になります。川底には水草が多く、ところどころ深い場所(胸下ぐらいの水深)があります。
ここでは、小型のニジマス主体で、時折レギュラーサイズのニジマスが釣れました。この下流には良型のイワナが居るので、ここにもイワナがいると予想していましたが、予想に反して釣れるのはニジマスばかりでした。
16時頃からは、谷地川の本流合流地点付近から最初の堰堤までを探ってみました。合流地点付近で小型のニジマスが釣れましたが、それより上流では魚の反応がありません。この川は水質が悪くそのことが影響していると思われます。
下流の下里瀬付近を探ってみましたが、濁りのため釣りにならず、大樽川合流地点に移動。蕨平橋から入渓しました。
蕨平橋のすぐ上流には川下りのボートが並んでいて、橋の周辺は釣果があまり期待できなかったのですが、念のためボートの通ると思われる場所も探ってみました。
今回は、上流からウェットフライを送り込み逆引きするという釣り方を試してみました。大樽川合流地点の10mぐらい上流に用水路の流れ出しがあり、ここがポイントとなっていそうなので粘ってみると、川下りのボートで荒らされているはずなのに、ぽつりぽつりとニジマスが釣れます。
ボートの関係者によれば、やはりここは好ポイントで、ボートが荒らした後も魚が集まってくるらしいです。
これより上流は瀬が続きますが、あまり魚はいないようでした。
姫川橋下流の赤坂橋(白馬山麓植物園よりさらに下流)から入渓しました。ウェットフライで反応がないため、CDCユスリカフローティングピューパに変えたところ、すぐに反応があり、小型のアマゴが数引き釣れました。
その後、堰堤を経て瀞に入ってみましたが、ここでは魚の反応が無かったです。
瀞を過ぎると左岸の高い位置から用水路が流れ落ちていて、落ち込みの泡の上流にウェットフライを繰り返し送ると(10数投目でやっと)、25cmのイワナが釣れました(予想どおり、潜んでいました)。
朝の7時頃、下里瀬の宮本橋の下流に入渓しました。天候はあいにくの雨模様。ニンフを使って探り始めると、すぐにニジマスが連続して釣れました。これより上流では魚の反応が少なくなり、型も小さくなりますが、ゆるい流れでポツリポツリ程度にニジマスが釣れます。
その後、9時頃に白馬村・神代の山麓植物園近くに移動。本格的な雨のなか、ここでは小ぶりのニジマスが数尾ニンフにヒット。フライを飲み込んでしまったニジマスの腹を割いてみたところ、陸生昆虫類を捕食していることがわかりました。ホタルみたいな形状の比較的大きな虫と、羽蟻のような虫もいます。これを見ると、この時期、やはり陸生昆虫のパターンが有利かもしれません。
午前7時頃、下里瀬のトンネル前の駐車帯付近から入渓、パイロットフライにエルクヘアカディスを選んで釣り始めました。下流の橋の下からは瀬が続いていて、小型アマゴの魚影が濃く、頻繁に魚がフライを追いかけますが針掛りしません。その少し上流のローソン前付近では水深が浅くなるあたりでは15~20cmのニジマスが何匹が釣れました。ここはニジマスの魚影が濃いようです。
その後、大樽川合流地点付近に移動。船山橋から500m程度上流をニンフとエルクヘアカディスを使って探ってみました。船山橋の近くでは15cm程度のニジマスが多く釣れましたが、あまり良い型は釣れませんでした。それより上流は次第に魚の反応が少なくなりました。
神城周辺を探ってみました。白馬山麓植物園の下流で何尾かのニジマスが釣れ、白馬山麓植物園の橋の下の堰堤の落ち込みではイワナも釣れました。犬川合流地点付近の長い瀞では、予想以上にニジマスが釣れました。
白馬山麓植物園上流の橋 から、支流犬川の合流地点までを探ってみました。釣り始めてすぐに、ニジマスが釣れ、その後もテンポ良くニジマスが釣れて楽しめました。
ここは川沿いに比較的交通量の多い県道が走っていますが、その横で良型のイワナも釣れて(しかも護岸の上からのいい加減な釣り方で)少し驚きました。姫川は全体を見れば水量の多い美しい川ですが、この辺りだけは水量も少なく水質もあまり良くありません。しかし、こんなイワナがいるので、見過ごすことのできないポイントです。