信濃川水系の釣り

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 圧倒的な人気を誇る本流千曲川、八ヶ岳から流れる大門川や犀川の本流や支流など、面白い川の多い水系です。犀川本流では、スーパートラウトも狙えます。

 甲武信ヶ岳を水源とする千曲川は、長野県内を広範囲に蛇行しながら水を集め、新潟県に入ってからは信濃川と呼ばれるようになります。

 梓川合流地点より少し上流では良型のイワナが釣れます。しかし、集落を過ぎた辺りからは、獣害対策のために通電した柵があり、川へは降り難くなります。この柵が設置されているのは、さらに上流の登山道が始まる辺りまで。そこから上流は、再び川に降りやすくなります。

 梓山周辺は、入渓も容易で良型のイワナが釣れます。短い間隔でいくつかの大堰堤があって、この堰堤の下に良型イワナが付きやすいポイントとなっています。

 さらに下流の秋山付近は梓山に比べると水質が悪く、水が濁っていますが、ここではヤマメが釣れます。

梓川出会い付近で釣れたアマゴ 2010.05.01
添川合流地点の下流 2009.08.22
梓川合流地点上流の十字テトラ付近 2010.04.24

 下流部は開けていて容易に入渓可能。障害物が少ないため、フライやテンカラでの釣りも可能です。ここでは、良型のイワナを主体に、ヤマメも釣れます。夏の暑い日は魚の反応が少なくなることもありますが、それでも丹念に際の藪の下などを探ると釣果が得られます。千曲川出会いの上流350m付近に大堰堤がありますが、これより上流の町田市自然休暇村のあたりまではイワナが釣れます。

「梓川」のイワナ 2009.08.22
「梓川」のイワナ(2) 2009.08.22
「梓川」下流域

 秋山沢は、川上第二小学校の少し下流で千曲川に合流する流程2km程の小さな沢です。千曲川合流地点は完全に藪に隠れてしまい、基本的には釣りの対象とはなりにくい川です。

 杣添川は八ヶ岳は横岳の辺りを水源として、南牧村のうそ沢鉱泉近くで千曲川に合流する支流です。下流の杣添橋周辺は、良型は少ないものの小ヤマメの魚影は多く見られます。

杣添橋上流 2009.08.22
杣添橋上流(2) 2009.08.22

 霧ヶ峰付近を水源とする大門川は、大門街道(国道152)沿いに長野県長和町を流れ、依田川に合流します。常に適度な水量があり、水のきれいな水のこの川は、雨の日でも濁りにくく増水によって活性化した魚を狙うこともできます。

 最上流部は張り出した樹木の中での釣りとなりますが、それを厭わなければ川幅がかなり狭くなった(水深も浅い)所でもイワナが釣れます。

 「小茂谷」付近まで下ると、水量も十分に増えて釣りやすくなり、良型のイワナが狙えます。

「大門川」小茂谷の「そば道場」付近 2009.08.01

 里におりてからは堰堤が連続して魚の生息域は分断されるようになります。しかし放流量が多いのか、この堰堤の影響はそれほど感じられず、まずまずの釣果が期待できます。この付近から下流は、イワナよりもヤマメが多くなります。

 さらに下流の「本沢橋」付近では川幅が狭く流れの速い場所があって、少し釣り難くなります。

 大門街道が川と交差する霧山橋まで下ると、川幅は広がり障害物もなく釣りやすくなります。

 霧山橋の下流のクネノ内橋は、容易に入渓可能ですが、それだけに入る人も多く、場荒れしやすい傾向があります。

 「クネノ内橋」の上流の堰堤には取水口があり、この下流では多少水量が少なくなります。クネノ内橋の下流の大門橋は夏の間は草が生い茂るので軽い藪こぎが必要となります。渓相はクネノ内橋とほとんど変わりません。

 大門橋より下流では、堰堤の間隔が長くなり、あまり堰堤の存在を意識することがありません。左岸側には山の斜面が接しているので、川に入るには畑の広がる右岸側からとなりますが、この区間の右岸側には獣害対策の金網が張られています。この金網には一定間隔で扉があるので、扉を使って川に降りることになります。車道が川から離れるところの橋の下流付近は(夢のかけ橋付近まで)、水深が浅く、あまり期待できません。大門橋より下流は、岩井と宮ノ上の境付近が特に期待できます。

 大門川の上流部はクマ出没エリアとなっているので、入渓の際には熊対策が必要です。

「大門川」下流 2009.08.01

 槍ヶ岳付近を水源ととする「犀川」支流の高瀬川は、古い釣りの地図では「イワナの宝庫」と書かれていたりしますが、1990年頃にはもう魚も減り、現在は特別に釣れる川というほどでもありません。それでも、ほとんど手付かずのまま残された自然の中で釣れたイワナは特別に美しく感じられます。

 七倉から高瀬ダムの間は、一般車両を乗り入れることは出来ませんが専用タクシーを利用することが出来ます。

 高瀬ダムより上流は、登山道を利用しての釣行となります。ダムの左岸側にもいくつか沢がありますが、登山道は右岸側にしかなく、基本的に左岸側の沢には入ることが出来ません。

 高瀬ダムより上流には、あまり釣り人はいませんが、運悪く先行者があった場合、別の沢に移動するにはかなり時間がかかります。日帰りの場合は、東沢より遠くの沢に入ることはあまり現実的ではありません。こんな状況を考えると、高瀬ダム上流では東沢がもっとも手軽で有望な沢かも知れません。日帰りの他に、上流の晴嵐荘に泊まってじっくりと源流部の沢をさぐることもできます。

 晴嵐荘の少し上流では、川原から温泉が湧き出ていて(湯俣温泉)、それを溜めて露天風呂を作ることが出来ます。

 高瀬ダム一帯では、ヤマメ類は少なく釣れる魚のほとんどがイワナとなります。またこの一帯の沢のイワナは、大雨で沢の石が土砂で埋まるとダムに下る傾向もあります。

 七倉ダムから高瀬ダムの間も釣りの対象となります。七倉ダムの下流、葛温泉までは堰堤が連続する所では、川に降りにくく魚もさほど多くはありませんが、葛温泉より下流付近まで下ると、川にも降りやすくまずまずの釣果が期待できるようになります。釣り上がるなら、葛温泉の下流の橋(高瀬川2号橋)の葛温泉側から急斜面を下って川に降りることも出来ます。

 「龍神湖」付近から上流は、猿などの野生動物も多くなります。

 さらに下流の蓮華大橋や大出橋周辺は、容易に入渓可能でスレている魚も多くなります。

 奈良井川は中央アルプスの茶臼山を水源とし、旧楢川村、塩尻市を流れ、松本市で梓川と合流して犀川となります。

 現在は、姥神峠道路と権兵衛峠道路が整備され、伊那方面からも楽に釣行できるようになりました。しかしその一方で、その工事の爪痕が川のあちこちに残っていて、かつての姿を知る者にとっては心が痛くもあります。それでも、かつての美しい姿を残すところもあり、川の水の透明度の高さも変わりません。

 「道の駅奈良井」には「木曽の大橋」という名前の木の橋があります。現在の木曽川と同じように、鳥居峠を境に逆方向に北上するこの川も、かつては木曽川と呼ばれていたようです。

 奈良井ダムの少し上流にある羽淵から川は森の中を流れます。姥神峠/権兵衛峠道路の工事の影響がありますが、川そのものの影響は少なく、小型主体となりますが釣果が望めます。禁漁直前頃には、ダムからの遡上イワナが狙えるとも言われています。

 羽淵から番所までは道路工事の影響もなく、本来の渓相が残されています。ここでは良型のイワナが狙えます。樹木が川を覆っていますので、フライやテンカラは少し難しいところもあります。

 番所は少し開けた場所でフライやテンカラでも釣りやすく好ポイントでしたが、現在は工事の影響で荒廃し、釣り場としての価値はほとんど失われた感じがします。ここが釣り場としての価値を取り戻すには、自然が自らの再生力によって工事の爪痕を癒すのを待つしか無さそうです。それには、数年、あるいは数十年単位の時間が必要かも知れません。

「奈良井川」番所 2009.08.13
「奈良井川」奈良井ダム 2009.09.13

 番所より上流に進むと、川は「奈良井林道」に沿って流れるようになります。林道の始点は大小の岩があり、誰もが入りたくなるような渓相で、釣り人も良く見かけます。それだけに場荒れが進みやすく(?)、釣果はあまり期待できません。

 林道をしばらく進むとキャンプ場があって、このあたりから多少の釣果が期待できるようになります。

 林道に入ってから1、2km付近にはイワナがいますが、それより上流はまだ未確認です。

 以前、林道の始点から1kmぐらいの所に入渓したとき、背後でバシャバシャと川を歩く音がして振り返ると、間近にクマがいた事がありました。そんなことがあってから、番所より上流に入ることに少しためらいを感じます。釣行の際には、鈴を付けたり、蚊取り線香を焚くなどの熊対策をお勧めします。

 奈良井ダムの下流に道の駅奈良井があります。ここは1990年頃から2000年頃までは、魚が多く、型の良いイワナも釣れましたが、ある年に岩が流れてずいぶん渓相が変わってしまい、現在では以前ほど釣れなくなっています。それでも、道の駅の少し下流のカーブ(下流の橋の上流)のプールにはやはり型の良い魚が付くようです。

道の駅奈良井の下流 2009.08.13